今回は「今日の名言」ということで本を読んでいて気に入ったフレーズを紹介します。
ビジネス本はなにかの「役に立つ」ことを主眼に出版されている。だが、「役に立つ」ことは恐ろしいことなのである。ためしに、台所にとても役に立つスポンジと、ちっとも役に立たない石ころを置いてみよう。3か月後、ボロボロになるのはどちらだろうか。「役に立つ」ということは、身を滅ぼす結果を招くのである。
『読みたいことを、書けばいい』より
すぐに役立つことだけを勉強するのは良くないと思わされる言葉です。
すぐに役立つことだけ勉強したくなるけど…
どうせ何かを学ぶのであればすぐに役に立つことを学びたい。そう思いませんか?自分は思ってしまいます。
しかし、すぐに役立つと自分が思うということは多くの人も同じようにすぐに役立つを思うはずです。すると、結局みんなができる、みんなが知っていることとなってしまいます。
ですので、すぐに使える技術ばかりを勉強していても、自分という人間の基礎ががっちりしないのではないかと思うんです。
自分自身、実感があって、例えばブログを書いていて、自分のブログを読む人が増えてほしいので検索順位を上げるスキル(SEO)を勉強します。しかし、ちょっと勉強して実践しても、自分よりもGoogleの検索の順位を上げるスキルの高い人はいます。
しかも、SEOの歴史は長いので、自分よりも早く学び実績を上げている人もたくさんいます。
結局SEOだけを勉強しても、すぐに役立つけど、圧倒的な読者数の増加にすぐにつながりません。自分のブログを多くの人に読んでもらって長く続けるためには他にも学ぶべきことがたくさんあるという事実を突きつけられました。
面白い文章を書くということ、そしてまだ多くの人が注目していないけれども大切なことを見つける観察力、難しくて敬遠したくなることを面白く、わかり易く伝える説明力等々挙げればきりがありません。
すぐに役に立たないことでも幅広く学ぶことで自分の土台が出来上がる
以下の文章は東京大学の教養学部のサイトにある文章の一部です。
現代人はすでに自由ではないか、べつに何かに囚われてなどいないのではないか、と思っている人も多いかもしれない。しかし普段はあまり意識しなくても、私たちはさまざまな条件によって限界づけられている。
言ってみれば、私たちはみな有限であるがゆえに、何重もの不自由さに囲い込まれた存在なのである。
だからそうした不自由さから自らを解き放つために(言葉本来の意味において「リベラル」になるために)、私たちは未知の外国語を学んだり、異なる分野の学問を勉強したりしなければならない。そうすることではじめて、人は自分と違った環境で生きる人々とコミュニケーションをとり、それまで知らなかった価値観に触れることができる。そしてそれは必然的に、広い見取り図の中で自らを相対化し、他者への敬意と謙虚さをはぐくむことにもつながるはずだ。
本当の意味でのグローバル人材は、世界をモノクロームに塗りつぶしてしまいかねない均質化の圧力に屈することなく、絶えず異なる価値観を体内に取り込みながら成長する柔軟な「リベラルアーツ精神」をそなえていなければならない。
東京大学 教養学部報より一部抜粋
私たちが自分のやりたいことをしつつ、自由に生きるためには幅広く学ぶことが重要です。一見すぐに役に立たないことでも、今まで知らないことを知った分だけ、自分という人間が広がり基礎が出来上がります。この基礎が自分を助けてくれる。そんな気がするんです。
結論の重さは過程に支えられる。 これこそ、文章が持つ力の根源でもある。 自分のために書く文章も、あくまで自分のために書くといいながら、ビジネスマンが金銭を手に入れる過程と同じように段階を踏まなくては、最終的に得た結論の重さを提示することができない。
『読みたいことを、書けばいい』より
すごい実績を残している人はスキルがすごいのももちろん、学んできたこと、やってきたことのすべてがそのすごい人を作っているのだと思います。
はたから見ても「このひとはすごい」という実績を上げている人は、みんなが役に立つとわかることだけを勉強しているのでしょうか?きっと、みんなの知らないところでまだ注目されていないけれども大切な新しいことを学んだり、いろんな体験をしているのではないかと思うんです。
私たちも(もちろん自分も)今すぐ役に立たなくても、一つ一つの内容が自分の基礎になるのだと信じ目の前のことを学び、吸収できる人でありたいですね。