【トヨタ生産方式】7つのムダ(無駄)から学ぶ勉強効率や仕事の生産性を上げるヒント

トヨタ生産方式を適用する前提として、ムダの徹底的な摘出が行なわれる。

これはトヨタを世界的大企業へと押し上げた「トヨタ生産方式」の生みの親、大野 耐一さんが書いた著書の言葉です。

トヨタ生産方式ではムダは7種類に分けられるといわれており、その7つのムダをなくすことで企業の生産性を高めることができると考えられています。今や多くの企業がこの考え方を採用して多くの企業が生産性の向上を成し遂げているのです。本書といろいろなサイトを参照すると7つのムダがあると言われています。 

この記事では7つのムダとは何を示すのかを解説します。加えて、日々の生活の中で7つのムダの実例を紹介します。

7つのムダと実例

ということで7つのムダは日々の生活の中でどのように出てくるのか、そしてどのように解決すればよいのかを簡単にまとめてみました。

7つのムダそれぞれで勉強、日常生活、仕事、経営の4つの例を出してみて、簡単な解決策を書いてみました。あくまで一例なので参考程度に読んでください。

重要なのは、今回の実例のような視点であなたの活動を7つのムダのどれに当てはまるのかを考えることです。

私たちの活動を「7つのムダ」という観点から整理すると生産性を上げることができるかもしれません。

(1)過剰生産のムダ

需要を超えて製品を作りすぎると、在庫の山を抱えるリスクが高まります。保管コストや資源の浪費が増えるため、製品を作るたびに損が出るという悲しい事態に陥る可能性があります。需要を的確に把握し、必要なタイミングで必要な量を作ることが重要です。

勉強

  • : 使わない教材をたくさん買い込む
  • 対策例
    • 必要な範囲を見極める
    • 必要最小限の教材を活用する

日常生活

  • : セールで食品を買いすぎ、食べきれずに捨ててしまう
  • 対策例
    • 購入前に消費予定を考える
    • 適量の買い物を心掛ける

仕事

  • : 将来の見込みが不確かな商品を大量に作り置きして、在庫を抱える
  • 対策例
    • 市場の需要予測を見直す
    • 適正在庫を保持する仕組みを導入する

経営

  • : 拡大路線を優先して過剰に支店や設備を増やし、維持コストに悩まされる
  • 対策例
    • 需要や収益計画を定期的に検証する
    • 投資・拡大のタイミングを慎重に見極める

(2)在庫のムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄
(2)在庫の無駄

原材料や仕掛品、完成品が過剰に溜まっている状態を指します。保管スペースや資金繰り、品質管理の面で大きな負担になり、スピーディな生産を阻害する原因にもなります。

勉強

  • : 複数のノートや参考書を同時に使いすぎて、どこに書いたか分からなくなる
  • 対策例
    • 必要教材を厳選する
    • 整理・一元管理する

日常生活

  • : 着ない洋服をたくさん保管してクローゼットがいっぱい
  • 対策例
    • シーズンごとに整理する
    • 不要品を手放し、スペースを有効活用する

仕事

  • : 事務用品や販促資料を過剰にストックして場所を圧迫
  • 対策例
    • 定期的な棚卸しで在庫量を把握する
    • 必要量をもとに適正在庫を維持する

経営

  • : 製品在庫を持ちすぎて倉庫コストが増大
  • 対策例
    • サプライチェーン全体を見直す
    • ジャストインタイムでの供給体制を整える

(3)手待ちのムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄 (3)手持ちの無駄

作業者や設備が仕事をせずにただ待っている状態で生じるムダです。段取りの不備や工程間の調整不足が原因になりがちで、全体の生産リードタイムを長引かせます。

勉強

  • 例: オンライン授業や講義動画の読み込み時間や、資料配布を待つ時間が長い
  • 対策例
    • 事前に資料をダウンロードしておく
    • 別の学習課題を用意し、待ち時間を有効活用する

日常生活

  • : 家族が入浴や洗濯の順番待ちで時間を浪費する
  • 対策例
    • スケジュールを事前に調整する
    • 待ち時間を減らす工夫を取り入れる

仕事

  • : 上司の承認が必要な段階で、上司の都合が合わず業務が滞る
  • 対策例
    • 権限委譲の仕組みを整える
    • オンラインの承認フローを導入する

経営

  • : 経営判断がトップに集中し、意思決定の遅れが各部門の停滞を招く
  • 対策例
    • 組織階層を適正化する
    • 現場でも判断可能な権限を付与する

(4)運搬のムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄 (4)運搬の無駄

工程内や間で必要以上に製品や部材を移動させる行為が当てはまります。レイアウトを見直し、最短動線を確保することでムダを削減し、生産効率を高めることができます。

勉強

  • : 参考書を自宅と図書館・自習室の間で大量に持ち運ぶ
  • 対策例
    • 電子書籍やクラウドにデータを置く
    • 持ち運ぶ教材を最小限に絞る

日常生活

  • : 買い物のために何度も同じスーパーへ行く
  • 対策例
    • まとめ買いの計画を立てる
    • ネットスーパーを活用する

仕事

  • : オフィス内の複合機が遠く、印刷のたびに往復が長い
  • 対策例
    • 利用頻度や人数に合わせたプリンター配置を検討する
    • 印刷手続きそのものを簡略化する

経営

  • : 拠点が無駄に分散しており、移動や物流コストがかさんでいる
  • 対策例
    • 生産拠点や流通拠点を統合・再配置する
    • ロジスティクス全体の最適化を図る

(5)加工のムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄 (5)加工の無駄

実際の付加価値に貢献しない、あるいは過度な精度を追求しすぎるなどの作業を指します。製品の品質や機能を満たすのに必要な工程を明確化し、最適化することが大切です。

勉強

  • : ノートの装飾に時間をかけすぎ、学習内容が疎かになる
  • 対策例
    • 必要な要点をシンプルにまとめる
    • 学習内容に集中するためのフォーマットを決める

日常生活

  • : 料理に凝りすぎて時間と手間をかけすぎ、他の家事が回らない
  • 対策例
    • 必要な要素を見極める
    • 調理工程を効率化するレシピを活用する

仕事

  • : プレゼン資料のデザインに凝りすぎて、肝心の内容が疎かになる
  • 対策例
    • 伝えたいポイントを明確化する
    • 不要な装飾を省き、内容の質を高める

経営

  • : 商品に機能を詰め込みすぎて、開発コストや価格が高騰
  • 対策例
    • 市場ニーズを正確に把握する
    • 過剰な機能を省いた商品設計を行う

(6)動作のムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄 (6)動作の無駄

作業者の余分な動きや物を探す時間など、生産性に直接結びつかない行動をいいます。作業環境の整備や配置の工夫により、動きを最小限に抑えるのがポイントです。

勉強

  • : 机が散らかっていて、必要な文房具や資料を探す時間が多い
  • 対策例
    • 定位置管理を徹底する
    • すぐに取り出せる状態をキープする

日常生活

  • : 部屋の掃除道具が複数箇所にバラバラに置かれていて探す手間がかかる
  • 対策例
    • 収納場所をまとめる
    • 作業動線を考慮して配置を見直す

仕事

  • : 備品やデータの保管場所が統一されておらず、探すだけで時間を消費
  • 対策例
    • データや書類の一元管理システムを導入する
    • ファイリングルールを明確化する

経営

  • : 各部門の情報連携が不十分で、同じデータを重複して入力・管理
  • 対策例
    • ERPなどの統合システムを導入する
    • 情報共有と業務フローの一貫性を保つ

(7)不良・手直しのムダ

トヨタ生産方式の7つの無駄 (7)不良・手直しの無駄

不良品の発生や再加工が必要になることで、人や設備、材料といったリソースを重複して使ってしまう状態です。製造の段階でミスを予防し、品質管理を徹底することが重要になります。

勉強

  • : 課題の要件を読み違えてレポートを再提出する羽目になる
  • 対策例
    • 提出前に要件を再確認する
    • チェックリストを使ってミスを防ぐ

日常生活

  • : 家電の取扱説明書を読まずに誤った使い方で壊してしまう
  • 対策例
    • 取扱説明書を確認して正しい手順で使う
    • 消耗品やメンテナンス時期を把握しておく

仕事

  • : 取引先との連絡ミスで企画内容が大幅に変更になり、再作成する
  • 対策例
    • 要求仕様やコミュニケーションのポイントを明確化する
    • 提案前に複数人でダブルチェックを行う

経営

  • : 新製品の不具合が多発し、リコール対応や顧客サポートに過度なコストがかかる
  • 対策例
    • 開発段階での品質管理を強化する
    • 不良を未然に防ぐ体制を構築する

最後に

今回はトヨタ生産方式に示されている7つのムダを解説しつつ実例を紹介しました。私たちの日々の活動をどのように改善すべきかを考えるヒントになれば幸いです。

以上のことから、一人一人の作業者でみても、ライン全体でみても、ほんとうに必要なものだけを仕事と考え、それ以外をムダと考えるならば、つぎの関係式が成り立つ。   

現状の能力=仕事+ムダ   (作業=働き+ムダ)  

ムダをゼロにして仕事の割合いを一〇〇パーセントに近づけていくことこそ、真の能率向上である。

ムダを減らすというのはは大学の経営工学(生産工学や管理工学ともいう)を学んでいるとよく耳にする考え方です。トヨタの思想は偉大ですね。

この偉大な思想を私たちも日々の活動で生かしたいものです。

引用文献

参照したサイト、ウェブメディア

参考書籍

トヨタの考え方を用いて片付けをするためのノウハウがまとめられた一冊