今回は中学3年生が学ぶ\( y = ax^2 \) のグラフについてわかりやすく解説します。グラフを理解することで、数学の問題がもっと楽しく、簡単に感じられるようになりますよ。それでは、さっそく始めましょう!
最初に学ぶべきポイント
2次関数 \( y = ax^2 \) を理解するために、以下のポイントを押さえましょう:
- 2次関数とは何か:基本的な定義と特徴。
- グラフの形:放物線*の形とその特徴。
- 係数 \( a \) の役割:\( a \) の値がグラフに与える影響。
- 変化の割合:\( x \) の増加に伴う \( y \) の変化の仕方。
*(注)放物線:放物線は、「真ん中から左右対称な形をしたU字型の曲線」のことです。例えば、水を噴き上げた噴水の形や、ボールを投げたときの軌道も放物線に似ています。二次関数の形で放物線を描くと、曲線が上に開いたり、下に開いたりします。
2次関数とは?
2次関数とは、変数 \( x \) の2乗を含む関数のことです。一般的な形は次の通りです。
$$ y = ax^2 + bx + c $$
ここで、\( a \), \( b \), \( c \) は定数で、\( a \) が0でない場合に2次関数と呼ばれます。2次関数のグラフは「放物線」と呼ばれ、U字型や逆U字型の形をしています。
一般式は高校数学で詳しく学びます。中学3年生の数学では\( y = ax^2 \) というシンプルな2次関数のみを扱います。
中学3年生で学ぶ2次関数とは?
中学3年生で扱う\( y = ax^2 \) は、放物線の基本形です。グラフが原点 \((0, 0)\) を必ず通るという特徴があります。
詳しいグラフの形を見てみましょう。
y = ax²のグラフは原点を通る放物線
\( y = ax^2 \) のグラフは、常に原点を通る放物線です。係数 \( a \) の値によって、放物線の開き具合や向きが変わります。
\( y = ax^2 \) では \( x \) が大きくなると \( y \) は \( x^2 \) に比例して急激に増加または減少します。
- \( a > 0 \) の場合:\( x \) が増えると \( y \) は急速に増加。
- \( a < 0 \) の場合:\( x \) が増えると \( y \) は急速に減少。
これにより、放物線の開き具合が決まります。大きな絶対値の \( a \) は、放物線を鋭く開かせ、小さな絶対値の \( a \) は緩やかに開かせます。
y = ax²のグラフ(\( a > 0 \))
係数 \( a \) が正の値の場合、放物線は上に開きます(下に凸(とつ)といいます)。つまり、最低点(頂点)は原点で、左右対称に広がります。
例:
$$
y = 2x^2
$$
この場合、\( a = 2 \) なので、放物線は上に開き、原点が最低点となります。
y = ax²のグラフ(\( a < 0 \))
係数 \( a \) が負の値の場合、放物線は下に開きます(上に凸(とつ)と言います)。最高点(頂点)は原点に位置し、左右対称に広がります。
例:
$$
y = -3x^2
$$
この場合、\( a = -3 \) なので、放物線は下に開き、原点が最高点となります。
例題
ここでは、\( y = ax^2 \) のグラフに関する2つの例題を解いてみましょう。
例題1
問題:関数 \( y = 4x^2 \) のグラフの形を説明し、\( x = 2 \) のときの \( y \) の値を求めなさい。
解答:
- \( a = 4 \) は正(\( a>0 \))なので、放物線は上に開く(下に凸)。
- 原点を通る。
- \( x = 2 \) のときは \( y = 4x^2 \)に代入して、\( y = 4 \times 2^2=16 \)。
グラフを下に示します。
例題2
問題:関数 \( y = -2x^2 \) のグラフの形を説明し、\( x = -3 \) のときの \( y \) の値を求めなさい。
解答:
- \( a = -2 \) は負なので、放物線は下に開く。
- 原点を通る。
- \( x = -3 \) のときは、 \( y = -2x^2 \) に代入して、\( y =-2 \times (-3)^2 = -18 \)
y=ax²のグラフの描き方
y=ax²のグラフを描くためには、いくつかのポイントに注目することで簡単に描くことができます。以下のステップに沿って描いていきましょう。
グラフを描くための手順
1.原点 (0,0) の確認
\( y = ax^2 \) のグラフは常に原点を通ります。中学3年生の間は放物線は原点を通ると覚えてしまっても良いでしょう。
2.a の符号の確認
\( a > 0 \) であれば上に開く(下に凸の)放物線、\( a < 0 \) であれば下に開く(上に凸の)放物線となります。
3.開き具合の確認
\( |a| \) の値が大きいほど急激に変化し、小さいほどゆるやかなカーブになります。
こちらが \( y = ax^2 \)のグラフで、異なる絶対値 \( |a| \) の影響を示しています。
- 緑色のグラフは、a=0.5の場合で、カーブがゆるやかに変化しています。
- 青色のグラフは、a=2 の場合で、急激に変化するカーブになっています。
このように、\( |a| \)の値が大きいほど放物線が鋭く開き、値が小さいほどゆるやかなカーブになります。
こちらのグラフでは、\( y = 0.5x^2 \)(緑色)と\( y = 2x^2 \) (青色)の両方に対して、いくつかの\( x \) の値に対応する点をプロットしています。
- 緑色の放物線 \( y = 0.5x^2 \)では、カーブがゆるやかで、点が比較的離れて分布しています。
- 青色の放物線 \( y = 2x^2 \)では、カーブが急で、同じ x の値でも点がグラフに近く集まることが確認できます。
このようにして、異なる\( |a| \)の値がグラフの形にどのように影響を与えるかが視覚的にわかりやすくなっています。
4.点をプロット
いくつかの \( x \) の値に対する \( y \) の値を計算し、点をプロットして形を確認します。この時、表にするとわかりやすいです。
x | -3 | -2 | -1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
y=0.5x2 | 4.5 | 2 | 0.5 | 0 | 0.5 | 2 | 4.5 |
y=2x2 | 18 | 8 | 2 | 0 | 2 | 8 | 18 |
表の数値を元にグラフを描きます。放物線になるよう、丸みをつけて描いてください。
例題
例題:関数 \( y = 3x^2 \) のグラフを描きましょう。
手順:
- 原点の確認:\( y = 3x^2 \) は原点を通ります。
- 符号の確認:\( a = 3 > 0 \) なので、放物線は上に開きます。
- 開き具合の確認:\( a = 3 \) は比較的大きな値なので、急に上に伸びるカーブになります。
- 点をプロット:いくつかの \( x \) の値に対する \( y \) の値を計算します。
- \( x = -2 \) のとき、\( y = 3 \times (-2)^2 = 3 \times 4 = 12 \)
- \( x = -1 \) のとき、\( y = 3 \times (-1)^2 = 3 \times 1 = 3 \)
- \( x = 0 \) のとき、\( y = 3 \times (0)^2 = 0 \)
- \( x = 1 \) のとき、\( y = 3 \times (1)^2 = 3 \)
- \( x = 2 \) のとき、\( y = 3 \times (2)^2 = 12 \)
このようにして得られた点は次の通りです:
\( (-2, 12) \), \( (-1, 3) \), \( (0, 0) \), \( (1, 3) \), \( (2, 12) \)
これらの点をプロットし、滑らかにつなぐことでグラフが完成します。
x | -2 | -1 | 0 | 1 | 2 |
y = 3x2 | 12 | 3 | 0 | 3 | 12 |
2次関数の変化の割合の公式
2次関数の変化の割合は、\( x \) の値が増加するにつれて \( y \) の値がどのように変化するかを示します。
式にすると以下のように表すことができます。
$$ \begin{align*} 変化の割合 &= \frac{yの変化量}{xの変化量} \\ &= \frac{y_2 – y_1}{x_2 – x_1} \end{align*} $$
中学2年生までで習った\( y=ax+b \)のようにグラフが直線になる関数では、変化の割合は常に一定です。しかし、二次関数のように直線にならない関数では、変化の割合が入力値の範囲に応じて変わることが特徴です。
変化の割合を理解するための例題
問題:関数 \( y = 2x^2 \) について、\( x=1 \)から\( x = 3 \)に増加する間の変化の割合を求めなさい。
解答
変化の割合は、x が \( x_1 \) から \( x_2 \)まで増加する間のyy の増加量を、xの増加量で割ることで求められます。変化の割合の公式を利用して解きましょう。
$$ \begin{align*} 変化の割合 &= \frac{\Delta y}{\Delta x} \\ &= \frac{y_2 – y_1}{x_2 – x_1} \end{align*} $$
ここで、\( x_1 = 1 \) と \( x_2 = 3 \)のときの y の値をそれぞれ求めます。
- x=1のとき:\( y_1 = 2 \times (1)^2 = 2 \)
- x=3 のとき:\( y_2 = 2 \times (3)^2 = 2 \times 9 = 18 \)
次に、変化の割合を計算します。
$$ \begin{align*} 変化の割合 = \frac{y_2 – y_1}{x_2 – x_1} = \frac{18 – 2}{3 – 1} = \frac{16}{2} = 8 \end{align*} $$
したがって、x = 1 から x=3 に増加する間の変化の割合は 8 となります。
補足:変化の割合の特徴
y=ax2のグラフは今まで学んだ関数のグラフと異なり、直線ではなく曲線です。そのため、変化の割合を求める時に、直線の関数では現れなかった特徴があります。以下にグラフ付きでまとめて解説します。
学校のテストで赤点を防ぐだけであれば学ぶ必要はありませんが、二次関数の理解を深める時に役に立つと思います。
① セカント線で変化の割合を視覚的に表現できる
変化の割合は、二次関数のグラフにおいて特定の区間を結ぶ線(区間内の直線)を描くことで視覚的に示すことができます。これをセカント線といいます。セカント線の傾きがその区間での変化の割合に相当し、異なる区間では異なる傾きになるため、変化の割合が変化する様子を確認できます。
グラフで確認しましょう。
青色の曲線は二次関数 \( y = 3x^2 \)です。
黄色の点線と緑の点線がセカント線を表しています。セカント線の傾きが変化の割合を表しています。
② 変化の割合は区間によって異なる
二次関数では、\( x \) の値が大きくなるにつれて \( y \) の増加量も増加するため、区間ごとに変化の割合が異なります。例えば、\( x = 1 \) から \( x = 3 \) までの区間での変化の割合と、\( x = 0.5 \) から \( x = 2.5 \) までの区間での変化の割合は異なります。
例えば、下のグラフを見てください。
青色の曲線は二次関数 \( y = 2x^2 \)です。
オレンジ色の線は、区間 x=1から x=3の変化の割合(傾き 8.0)を示しています。
緑色の線は、区間 x=0.5からx=2.5 の変化の割合(傾き 6.0)を示しています。
\( x \)の変化はオレンジ線も緑線も2.0ですが、変化の割合が異なっていますね。
③ 区間が広がると変化の割合が大きくなる
二次関数では、区間が広がるほど変化の割合が大きくなります。例えば、\( x = 0 \) から \( x = 2 \) までの区間と、\( x = 0 \) から \( x = 4 \) までの区間では、後者の方が変化の割合が大きくなります。これは、二次関数が急激に増加(または減少)するためです。
再び、\( y=ax^2 \)のグラフを見てみましょう。
青色の曲線は二次関数 \( y = 2x^2 \)です。
紫色の線は、区間 \( x=0 から x=2 \)の変化の割合(傾き 4.0)を示しています。
赤色の線は、区間 \( x=0からx=4 \)の変化の割合(傾き 8.0)を示しています。
このように、区間が広がるとセカント線の傾きも大きくなり、変化の割合が大きくなることが視覚的に理解できます。
最後に(まとめ)
今回は、2次関数 \( y = ax^2 \) のグラフについて学びました。主なポイントは以下の通りです:
- 2次関数の基本形:\( y = ax^2 \)。
- 放物線の形:\( a \) の符号によって上に開くか下に開くかが決まる。
- 原点を通る:グラフは必ず \((0, 0)\) を通過。
- 変化の割合:\( x \) の増加に伴い \( y \) は急激に増減。
2次関数のグラフをしっかりと理解することで、数学の他の分野でも役立つ知識が身につきます。ぜひ、例題を解きながら復習してみてくださいね!
問題を解くときに2次方程式の内容が必要な可能性があります。その時は2次方程式の記事も用意しているので、良かったら参考にしてください。